☆☆☆

瓶の中で呆然と立ち尽くしていると、部屋の中で誰かが動く気配がして身を固くした。


「なんだ、起きてたのか」


陽介君のそんな声が、ビンの中までちゃんと聞こえて来た。


陽介君は寝起きで大きな欠伸をしている。


「な……んで……?」


あたしはようやく声を絞り出してそう聞いた。


「なんでって?」


陽介君があたしを見下ろして、首を傾げた。


「なんで、こんな事になってるの?」


恐怖と混乱で声がうまく出ない。


今のあたしじゃこの声は届かないかもしれない。