「百合花の体が元に戻るためには、実験をする必要がある」


そう言ったのはお父さんだった。


和はあたしから視線をそらせた。


「実験?」


「あぁ。地震で様々な薬品が混ざり合ってこんなに小さくなってしまったんだ。体を大きくするためにはどうすればいいか、お父さんたちにはわからない」


言っている事の意味は理解できる。


だけど、それなら医者を頼った方がいいんじゃないかと思ってしまう。


「最初はお医者さんや科学者に人にお願いするつもりだったのよ?」


そう言ったのはお母さんだった。


「でもね、そういう人の手に渡ると、百合花が世間にさらし者になってしまうかもしれないって、不安になったの」


「あたしが世間のさらし者に……?」


「そうだ。体が小さくなるなんてこんな珍しいことはないだろ? もしかしたら治す前に色々と実験台にされるかもしれない」


そう言ったのは和だった。


3人とも真剣な表情だ。


本当にそんな事をされるかどうかはわからない。


でも3人は、自分たちの手であたしを元の体に戻す決意をしているようだった。