ミィの長くてスッと通ったシッポがなくなっていたのだ。


尻尾がなくなったその場所にはガーゼが当てられている。


「ミィ、それどうしたの!?」


思わず大きな声が出ていた。


ミィは背中を向けたまま顔だけこちらへ向けて「ニャァ」と、小さな声で鳴いた。


「まさか、陽介君が……?」


そう言う自分の声が震えていた。


人間のあたしに対してもこんな事をする陽介君だ。


猫のミィのシッポを切断することも考えられないことではなかった。


「ミィがあたしを助けようとしたことがバレたから……?」


だからシッポを切られて、最近はここへも来てくれなかったの?


そう続けたかったけれど、涙で言葉がつっかえて出て来なかった。


「ニャァ」


ミィが心配そうにケースの中のあたしを覗き込む。


「ごめんね、ごめんねミィ!」


あたしを助けようとしてくれたせいで、ミィはこんな目にあったんだ。


あたしは自分の置かれている状況ばかりを気にして、その事に気がつく事ができなかった。


仕方のない事かもしれなかったが、心優しいミィを巻き込んでしまったことが悲しくて、申し訳なかった。


ミィは泣いているあたしの前に伏せて、あたしが泣きやむまでずっとそばにいてくれたのだった。