「ほら、これ」


風邪薬は小さく砕かれている。


あたしはそれを素直に手に取った。


カップの中には水が入っていて、薬を一気に飲みこんだ。


少し大きな薬が喉を流れて行くのを感じる。


その時だった、あたしはカップの向こう側でニヤリと笑っている陽介君を見た。


その瞬間嫌な予感が胸をよぎり、薬が通り過ぎて行った喉に手を当てた。


「陽介君、風邪薬って……」


『本当?』


そう聞く前に、視界が歪んだ。


立っている事もできなくなってその場に倒れ込む。


「早くよくなれよ」


意識を手放す寸前に聞いたのは、陽介君の笑い声だった……。