それからあたしは蝶の羽を付けられて、監禁されて、まるで地獄のような日々を送るの。


「そんなこと、あるはずないのにね」


そう言って、目を開けた。


さっきよりも鮮明に見える景色に違和感を覚えた。


ここは自分の部屋じゃない。


リビングでもないし、寝室でもない。


あたしはそっと自分の額に手を当てた。


額に乗せられている冷たいそれがいつものタオルじゃないことがわかり、ハッと息を飲んだ。


上半身を起こすと、それは今朝までと何も変わらない机の上だった。


机の端にはミィが壊してくれたティッシュの箱がそのまま残されている。


ここは陽介君の部屋……。


部屋の中には誰もいないから、さっきのあたしの話は聞かれていない。


でも、どうしてあたしはここへ舞い戻ってきてしまったんだろう?


たしかミィに助けてもらって外へ出て、靴にしがみついて車に乗ったはずだ。