額に冷たいものを感じた。


熱を出した時にいつもお母さんがぬれタオルを用意してくれる、あれと似ていると感じた。


目を開けるとまだ世界は歪んで見えた。


熱が高いのかもしれない。


「お母さん……?」


そう呼ぶ声も、まだしっかりとしていなかった。


だけど知っている。


あたしに熱が出た時に必ずそうしていくれていたから、お母さんは必ず近くにいる。


「お母さん、あたし、変な夢見てた」


目を閉じてゆっくりと夢の話を始める。


本当に変な夢だった。


「地震が起きて、薬品を沢山被って体が小さくなっちゃうの」


思い出しながらそう言い、クスッと笑う。


そんなこと、あるはずないのにねって。


「その後、すごく恐ろしい事が起きるんだよ。あたし陽介君にムシ女にさせられちゃうの」


最初、陽介君はちゃんと助けてくれるんだと思っていた。


真面目な生徒だし、あたしを監禁するだなんて思ってもいなかった。


でも、違ったの。


陽介君はずっと前から自分だけのムシ女が欲しくて、小さくなったあたしを見てチャンスだと思ったの。