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夢を見ていたような、それともずっと起きていたような、なんとも言えない中途半端な時間が流れていた。


濡れていた羽と体はすぐに乾いたが、陽が当たりにくい地面はなかなか乾いてくれなかった。


岩にねそべったままぼんやりとその様子を見ていると、不意に玄関が開く音が聞こえてきてあたしは上半身を起こした。


背伸びをして見て見ると、陽介君のお母さんが家を出たところだった。


どこか買い物にいくのか、手にはエコバッグを提げている。


陽介君のお母さんは玄関にカギをかけ、歩き始めた。


まっすぐこちらへ向けて足を進めている。


これって……!!


あたしの心臓がドクンッと跳ねた。


チャンスかもしれない。


あたしのすぐ横を通ってくれれば、その鞄や服、靴でもなんでもいい、飛び移って庭から外へ連れ出してもらうことができるかもしれない!


また熱が出始めたのか、体が言う事きくか心配だったがやるしかない。


陽介君のお母さんの足音はどんどん近くなってくる。


歩くたびに土にしみこんだ水が飛び跳ねているのが見えた。


つぎの瞬間、あたしの前にスニーカーが見えた。