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突然のスコールは10分程度で止み、空には綺麗な虹が見えていた。


あたしは岩の上に座ったまま、雨に濡れた体を近くの葉で拭いていた。


芝生の刃から逃れるために付けた土は全部綺麗に洗い流されてしまった。


そしてなにより、雨に打たれた事であたしの体はずっしりと重たくなっていた。


羽が水を吸い込んだせいだけじゃない。


風邪がぶり返したのだ。


寒気が全身を駆け抜けて視界がゆがむ。


ここで気絶してしまったら、そのまま死んでしまうかもしれない。


せっかくここまで来ることができたんだ。


家まではまだ遠くても、庭の外は見えている。


あたしは自分の頬をつねってどうにか意識を継続していた。


しかし、雨で湖になった庭を歩く事はできない。


泥水のせいで水深がどのくらいあるのかもわからない。


下手をすれば泥水に足を取られて、底なし沼のように沈んで行ってしまうかもしれなかった。


あたしは岩の上で横になり体力が回復するのを待つことにした。


せめて土が乾いて歩けるようになるまで待とう。


雨が上がった空には太陽が顔をだし、あたしの体を温めはじめていたのだった。