その心配がない分よかったと思っていたのだが、それもつかの間だった。


風は雨雲を運び、雨を降らせはじめたのだ。


最初は小さな雨粒だったのが、徐々に大きく、そして激しくなっていく。


大きな葉の下に隠れてしばらく様子を見ていたが、梅雨時のスコールはあっという間に地面を湖へと変えていく。


このままじゃ歩く事もできなくなる!


そう判断したあたしは葉の下から出て近くの岩の上へと移動した。


雨を防ぐことはできないけれど、雨水に沈んでしまう事は防ぐことができる。


水を含んだ羽はあっという間に重みを増して皮膚を引っ張り始めた。


この羽を取ることができれば動きやすさも違うのに、それもできずにただ雨に打たれるしかなかったのだった。