「ニャァ」


ミィが鳴く。


「ありがとう」


あたしはミィの首に抱き着き、そう言った。


「ニャァ」


ミィは一度芝生の庭に視線を向けて、そして家の中へと戻って行った。


「ミィ、どこにいたの?」


そんな声が聞こえて来る。


あたしは肺の奥まで土の匂いを吸い込んだ。


この庭を出るまでどのくらいの時間がかかるかわからない。


でも、ここまで来たんだ。


「行かなきゃ」


あたしは自分自身にそう言い聞かせて、足を踏み出したのだった。