しかし、すぐに戻って来てまた同じように箱の隙間から目をのぞかせた。


焼き魚のいい匂いがしているからだろうか?


ミィはそこから動こうとしなかった。


「ミィ、お願いここから出してくれない?」


あたしはそう言い隙間から手をのぞかせた。


ミィのざらついた舌があたしの手をなめる。


魚の味や匂いが染みついているのか、何度も何度もなめてくるミィ。


あたしは残っている魚に視線を落とした。


「ほら、ミィ! ここから出してくれたら食べさせてあげるから!」


魚の皮の部分を手に乗せてミィに近づける。


ミィはそれをすぐ口に入れた。


一度食べたことで食欲が出たのかミィは箱の隙間に前足を入れて来た。


あたしは安全な場所まで後ずさりをしてそれを見守った。


ミィが箱の上に乗ってきて、天井がミシッと音を立てた。


隙間から入れられた手は魚を求めて動き回る。


その度に箱の隙間はどんどん破れ、大きく裂けていく。


「ミィ、あと少しだよ!」


あたしは魚を持ってミィにそう言った。