あの刃があたしの体を切り刻むような事が、この先あるだろうかと考えてしまう。


不吉な考えを振り払うため、あたしはビニールが切り取られている間暗闇に視線を向けていた。


「これが今日の朝飯と昼飯だ。今日は夜には帰れるはずだから」


そう言い、切り取られた隙間から食べ物と飲み物を差し入れる陽介君。


「今帰ったのに、また学校に行くの?」


あたしはそう聞いていた。


「あぁ。みんなそのまま授業に出るらしいけど、俺はお前のために一旦帰ってきてやったんだ」


そう言う陽介君はどこから誇らしげな口調で、あたしは押し黙ってしまった。


陽介君は自分があたしの世話をしているのだと勘違いしているのかもしれない。


けれど、陽介君がいなければあたしは死んでしまう。


悔しいけれどそれは事実だった。


あたしは陽介君が再び部屋を出て行く音を聞いた後、そっと飲み物に手を伸ばした。


お人形用のカップに冷たい水が入れられている。


ひと口飲むと生き返るようだった。


食欲はなかったけれど、すこしだけおかずをつまみ、あたしは再び横になったのだった。