お昼休み

「憂依、数学の時間ずっと外見てたよね?どうしたの?」

蓮音が前の席のこの椅子に腰掛けて問うてきた。

「あっ、いえ、人がいたので。どうしたのかなって思って。」
「人?そうなんだ。まぁ、お昼食べ よう?」


お昼を食べながら先ほどの先輩のことを蓮音に話してみる。

「さっきの人、多分2年生だと思うんです。ネクタイ、翠色だったから。」
「でも、授業中だったんだよね?どうして授業サボって中庭にいたんだろう。」
「それが分からないんですよ。」

そんな話をしていたらそばに座っていた、クラスメイトの女の子が声をかけてきた。

「望月さんが話してるの、2年3組の、栗梨 颯輝(くりなし さつき)先輩だと思うよ。」
「栗梨先輩?知ってるんですか?」
「えぇ、友達の部活の先輩なの。私も何度か見たことあるし。」
「有難うございます。」

お礼を言ってお昼の残りを食べる。

「憂依、あと10分で授業だよー。」
「あっ、はい。」

蓮音と一緒に音楽室へ向かう。

「望月、ちょっといいか?」

担任の先生が、途中で声をかけてきた。

「えぇ、構いませんが。蓮音、先に行っていてください。遅れるかもしれないので冬木先生にお伝えください。」
「済まないな。夏木、頼んだぞ。」
「はーい。」

私は先生に付いて、教務室へ、蓮音は音楽室へ向かって別れた。