花言葉 〜大好き〜

憂依 回想

放課後、昇降口を出るといつもの笑顔で海玖が待ってた。

「憂依!遅いよー。」
「ごめん、海玖。」

駆け足で彼女の元に行くと彼女は私の手を引いて走り出した。

「み、海玖?どうしたの?」

急に走り出したからどうしたのか聞いてみると海玖は笑顔でこっちを向いてこう言った。

「憂依を連れていきたいとこがあるの。早くしないと日が暮れちゃう。」

私はどこに連れてかれるのかわからなかったが彼女について行った。

しばらく走って着いたのは高台にある神社の境内だった。

「海玖、ここはどこ?」
「棗神社。ここから見える夕日がすごく綺麗なの。憂依にも見せたいなぁって思って。ほら、丁度いい時間だ。」

海玖の指さした方を見ると真っ赤な夕日がとても綺麗に見えていた。そして、棗神社からは海も見えたからとても感動した。

「海玖、凄いね。ありがとう!ずっこいきれい。」
「ふふ、いーえ。憂依の笑顔が見たからよかった。帰ろっか。」

日が暮れて空が縹色になってきたから急いで帰ろうと私も海玖も自然と早足になっていた。
高台の坂を降りていくとすぐに大きめな交差点がある。
そこで悲劇は起きた。

「憂依、青になったからいこ。」

いつも海玖は私の手を引いて先に行ってくれる。
この日もいつも通りに。
しかし、横断歩道の真ん中辺りで、私は海玖につき飛ばされた。その直後目の前で信号無視をしたであろうトラックが今さっきまで私がいたところに突っ込んできた。そこを見ると、海玖が血を流して動かなかった。

「海玖!」

私が駆け寄って抱き上げるとまだ意識があった。

「憂依?ごめんね、良かった。」

と言って、目を閉じた。

「海玖?」

何度呼びかけても目を開けることは無かった。
すぐに救急車と警察が来たが私はわからなかった。海玖と一緒にこのまま逝ってもいいと思ったから抱き合って目を閉じて、意識をなくしていたから。

次目を覚ましたのは病院で、海玖の両親がそばに居た。

「憂依ちゃん。」
「おばさん、おじさん。ごめんね、海玖守れなかった。憂依が海玖を死なせちゃったの。」

泣きながらそう言うとおばさんは私を抱きしめてこう言った。

「憂依ちゃん。聞いて?海玖は憂依ちゃんを守れてよかったと思ってるわ。だから、海玖が守ってくれたその命、大切にして?それが海玖の最後の願いなの。」

最後の方は震える声で。
それを聞いて私の命は私と海玖の命になった。
私は海玖と共に生きてるんだって。