朝 登校時

「ねぇ、あれって噂の彼女じゃね?」

ふと聞こえるこの言葉。私に向けてじゃないことを望むが、その直ぐ後にその期待は裏切られる。

「ねぇねぇ、君。望月さんだよね?俺。2組の秋原。宜しくな。」

まだ同い年なだけ良かった。

「えぇ、宜しくお願いしますね。秋原くん。早く行かないと授業始まっちゃいますよ。遅れないようにしてくださいね。それでは。」

声をかけられる度に返答しなければこんなに声はかけられないとわかっていながらも、返答してしまう。


「憂依、おはよ!」

中学の頃からの友人、夏木 蓮音(れん)

「蓮音、おはようございます。また遅刻ギリギリですね。」

時計を見るとHRが始まる2分前。

「しょーがないじゃん、稀衣がいけないもん。」
「また、稀衣ちゃんのせいですか。あっ、早く席つかないと先生に怒られますよ?」
「あっ、ホントだ。まぁ隣なんだけどね。」

隣の席に座って今日の用意を始める蓮音。

窓際の私の席から外をみると、白木蓮が、綺麗に咲いていた。
白木蓮の花言葉は「高潔な心」「慈悲」。今日の放課後行ってみよう。
そんなことを考えていたらHR開始のチャイムがなった。