デートは、楽しかったなぁ。
武中さん優しかったし。
ずっと、手を繋いでくれてたし。
じゃないと、すぐはぐれそうだし、とか言われたけど。久々の甘い雰囲気だった、気がする。

 そんなこと考えていたからだろうか、「どうだった?初デート?」と、聞かれて、
「えっ?有希さんに話ました?」と、返してしまった。認めてるようなもんだ。
「あっ、やっぱりそうだったんだぁ。」
「鎌かけたんですか?もう。辞めてくださいよ。今日から、保育園でしたっけ?」
「そうなんだけどね。一週間はさ、慣らし保育っていうの?だからこの後、迎えに行かなきゃならないんだよね。」
「だから、お弁当じゃないんですね。」

 お昼休みに、会社近くの喫茶店に来ていた。
ここは、オムライスが美味しくて、お気に入りだ。サンドイッチも美味しいらしいが、サンドイッチに1000円て、どうなの?
有希さんは、その1000円のサンドイッチを食べながら、今朝、保育園に預けるのがどれだけ大変だったかを、話している。

 結局、どうして有希さんが、初デートだって分かったのか、聞けなかった。
 
 その夜、謎が解けた。

 出来た食事をテーブルに並べながらその話題になった。
 「有希さんが、すごい正確な鎌をかけてくるから、思わず認めちゃって。何で知ってたんでしょう?」
「さ、さぁな?」
怪しい!明らかに怪し過ぎる!
「悠斗さん言ったでしょ、林さんに!」
デート以来、名前を呼ぶようにいわれ、なかなか恥ずかしくて呼べなかったが、怒ると呼べるのね。
「いや、俺は言ってないから、アイツが察しが良すぎるんだ!」
「へぇ、その無表情から何を察したの、林さん。うわー謎だ!
 まぁ、いっかぁどうせ、バレてもたいしたことじゃないし。
 それよりも、早く食べましょう、いただきまーす。」
 今日の夕飯は和食、焼き魚に味噌汁、ゴマ和えに、きんぴらも付けました。おかげで、時間がかかってしまった。

 でも、彼は文句も言わず、手伝ってくれて、美味しそうに食べてくれる。
 なんだか、本当に幸せって思ってしまう。
いいのだろうか?