「あれ?先生誰もいないじゃん」
集合時間ギリギリにセミナーがある中央ホールに入ったけれど、いるのは生徒だけだった。
「もう時間なのに…先生なにやってるんだろ?」
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「やっぱりおかしくない?」
ホールに入って30分たっても、誰も入って来なかった。
「ねえ、奈緒子。ちょっと職員室行ってこようよ!」
「そ…だね、このままここにいても無駄だしね…」
何故だろう
さっきから
今朝の黒猫の死に際が脳裏を何度も横切る。
嫌な胸騒ぎがする。
…帰りたい。
「これで先生たちがのんびりしてたら怒っちゃうんだから…うわっ」
志穂がドアを開けると誰かにぶつかった。
メガネをかけた黒髪の…見たことがない人。
「あっ今朝のイケメン先生」
ドクドクと心臓が早くなった。
トキメキ?そんなのじゃない。
恐怖に対面した時の、緊張感。


