「―雛?」
周りを警戒しながら技術棟に戻っている途中、雛の様子がおかしいことに気づいた。
ずっと黙ったままで顔色がとても悪い。
「雛、大丈夫?」
「………の、」
「え?」
「わたしたち、殺されるの?みんなに、殺されちゃうの…?」
「…」
いつ、さっきみたいに襲われるか分からない恐怖。3年間一緒にすごしてきた人たちが全員敵になってしまった不安。
雛の精神はもう限界みたいだった。
「やだ…やだよ…殺されるのはいや…死にたくない…死にたくない…」
「冨岡さん…」
「なんで私たちが殺されなきゃいけないの!?何も悪いことしてないのに!!さっきみたいに襲われて殺されなきゃいけないの!?」
「雛落ち着いて…周りにバレちゃうよ…」
ただでさえこの緊迫した状況なのに、これ以上悪化させないでよ…
「なんで…なんでなんでなんでなんで…!!」
「おい、冨岡そんな取り乱れたらあかんて…もーちょいで技術棟つくから、頑張りや」
「うっ…グス…」
「…早く戻ろう」