ーーー

「私は白雪 アリス。少し前に転校してきてるけど、休みがちだからあまり知らないと思う。」

アリス
確かに見ない顔だった。

アリスちゃんの第一印象は、お人形みたいな可愛い子。ほんとうに、可愛かった。
セミロングのつやつやした髪、くりくりした目に長いまつ毛、ぷっくりした唇、きめ細かい肌はニキビとは無縁そうで…。
制服から覗く細い首も、スラリとした長い足も、細くて綺麗な手も、作り物みたいにきれい。

「こんな可愛い子、この学校にいたんだ…」

琥珀がアリスちゃんを見つめながら呟いた。
…落ちたな、これは。

「アリスちゃん、1人で動いてるの?」
「あんまり友達いなくて…あの状況じゃ人に声もかけられなかったし…」
「そうだよね、それじゃあ私たちと一緒に行動しよう?一緒の方が心強いし!」
「いいの?ありがとう、奈緒子ちゃん!」

にこっと微笑んだアリスちゃんは天使のように可愛かった。

「…奈緒子」

志穂がコソッと話しかけてきた。

「どうしたの?」
「ほんとにあの子と一緒に行動するの…?」
「え…なんで?」
「……だって…琥珀が…」

志穂は琥珀をチラッと見た。
琥珀はアリスちゃんと話している。すごく、楽しそうだった。

「え?まさか志穂…」
「そうだよ…琥珀のこと好きなの…だからっ」
「…でも、あのまま1人は可哀想でしょ。今はそんなこと言ってる場合じゃないよ。」
「っ…」

ずっと一緒にいたのに、何も言ってくれなかった志穂にすこし、イラついた。
それに、自分のことしか考えてないことにもイラついて少しきつい言い方してしまってけれど、仕方ないよね。