男嫌いな女王様とクールな臣下

影山は、後半部分を読む。

『徹底した女性のための現地主義、現場主義を貫き、
ビルに入っている飲食店などのテナントすべてに対応を義務付ける』

朱音がこっちを見たので、影山も微笑む。

『テナントの責任者は、女性であること。
従業員の半分以上を女性が占めること。
職場の重要な決定権を女性が持つこと。

この条件を満たした会社には、
テナント料を大幅に割り引くというものだ』

影山が続ける。

「この思い切った方針に、注目が集まっていて、ビルのオープン後も、連日テレビや雑誌で話題になっています」

記事は、とてもよく書けていた。

派手に写真を使ったから、紙面を開けた瞬間、朱音の顔が目に飛び込んできてよく目立つ。

「影山?これを見た読者は、ビルの印象よりも、私が始めた論争の方に注目が集まってしまうわね」