男嫌いな女王様とクールな臣下

薬を飲んで、落ち着くのを待った。

「無理するなって。ベッドまで連れて行くよ」

「大丈夫です。一人で歩けます。抱き上げるのは、もういいです」

「そっか。仕事なんかしないで、ちゃんと寝てるんだよ」
優しくいたわるように彼が言う。

彼は、朱音がベッドにの腰かけるのを見守っている。

彼は朱音のおでこに軽く触れている。

そのまま、しばらく見つめあったままでいた。

「そろそろ行くか……」

「待って行かないで」
立ち上がろうとする気配を感じて、思わず声が出た。

いつの間にか声に出て、彼の袖口を引っ張っている。

「行かないでって……」
彼は、驚いて私の顔を見ている。

「ここにいて欲しいの」
一人になりたくなかった。

「どうしたの?」

「あなたに、帰って欲しくないの。一人になりたくないから」

「いいよ。わかった。もう少しここに居るよ」

「よかった」
朱音は、伸びあがって彼の首に腕を巻きつけた。

彼は、抵抗しないでこうして朱音が抱きついても何も言わない。


すっと顔を近づけて、キスをした。

「ええっ?」


不意を突かれて無防備にキスをされて、驚いていた。

柔らかい唇。


同じように柔らかい唇。まるで彼女そのもの。


春妃のような雰囲気を持っている。


この男は、春妃の恋人だった。

春妃のことを、何度もキスして抱きしめたんだろうな。