男嫌いな女王様とクールな臣下

「そうですけど、しかしですね……」
影山が慌てて答えようとする。

「そうだ。社長を望まない政略結婚に追い込むことになる」
専務の川崎が頷く。

「でも、会社の経営は安定するじゃないか」
と、もう一方の専務の坂田が言う。

「安定って。そのためにお嬢さんを犠牲にするのか?
そんなもん、認められるか。
犠牲になるんだったらお前がいけ」
専務の川崎が坂田にかみつく。

「おい、やめろ。こんなことを議論しても始まらん。どうしたらいいのか考えろ」
岩淵が仲裁する。

「そうだねえ、頭がいいのは、分かったけど。顔はどうかな?
男前ならいいかな。俺」
内田副社長がにこにこして言う。

「顔だけじゃ、ダメです。身長も高くないと」と常務。

「身長?会社を動かすのに、何で身長がいるんだ」専務の川崎。

「ふざけてないで下さいよ。
だいたいの意見を聞いてると、朱音お嬢様にこのまま社長を続けさせる気はないみたいじゃないですか」
影山は、年上の老人たちにかみついた。

「いいえ。そうじゃないでしょう?
影山君。それは、誤解ですよ。
能力がないんじゃない。
会社のいろんな面を知らずに、きれいな表の顔だけ見ていて欲しいんですよ」
内田副社長が答える。


「そうだなあ。どうするか、そろそろ考えなきゃな」岩淵がまとめる。