男嫌いな女王様とクールな臣下



「T大から某省に入省したエリートです。
今は、父親が会長を務める銀行で働いています。
抜け目ないタイプです。
朱音お嬢様は自分のものになると自信満々で」
速攻で追い出されましたというべきか、影山は迷った。

「メインバンクか……」坂田専務が、
たそがれた空をうっとりと見つめて言う。

お金と社長を天秤にかけてるんだろうと思って、影山は軽くせき込んだ。

「ご存知の通り、我が社は、財閥系や強固な資金基盤を持っているわけじゃないよね。
今まで実績だけで生き延びて来たし。
そんな我が社にとって、メインバンクの創業一家と結びつきを強固にしておくのは、大変意味のあることなんだけどなあ」内田副社長が言う。