会社の重役7人は全部で7人。
全員引退間近の老人で、朱音の祖父の代から重役となり、長年会社を支えて来た。
社内では、この重役の7人を、堀田家の家老7人衆と時代劇のように呼んでいる。
中でも岩淵は、家老7人衆の中でも一番の年長者。
時代劇で言えば、一番偉そうにしている筆頭家老で、朱音の祖父から最も信頼を得ていた部下だった。
「はい。急な発熱でございまして」影山が答える。
発熱と聞いて出席者全員の顔が、ふてぶてしい重役の顔から、孫娘を心配する気のいい老人の顔になった。
十分経験を積んだ老人たちが、ぽっと出の若い女の子なんかにすんなり仕えられるわけがない。みんな朱音が生まれたころから、自分の孫以上にかわいがってきた。
彼らにとって、朱音は特別な存在だった。


