影山は、朱音が生まれる前から、朱音の曽祖父が興した会社、堀田土地開発で働いている。
今は、朱音についてB.C. square TOKYOのオフィスにいる。
しばらく勤務して、朱音が生まれる頃、祖父に頼まれて第一秘書になった。
実は、彼は秘書というという名目で、ずっと堀田家のために働いていた。
だから、朱音にとっては、気心の知れた存在だった。
彼女が物心ついた時から影山がいて、時代劇の爺のようにように当たり前に家にいることに慣れていた。
朱音は、たった今放り投げた新聞を、白髪交じりの第一秘書に新聞を手渡した。
「これ、ちょっと見てよ」
影山は、時代劇の姫様のように手を恭しく差し出して、新聞を受け取った。
紙面を開いて、老人の目が輝いた。


