朱音は、自宅のマンションに戻って、蛇口をひねって湯船にお湯をはる。
勢いよくお湯が出て来て、あっという間に蒸気で包まれる。
遅くなったけど、ローズウッドのアロマオイルでリラックスして明日に備えよう。
ゆっくりとお湯につかれば、疲れも嫌なことも忘れられればいいのに。
大き目のバスルーム。
学生の頃、ここに住むときに、外国みたいに足の着いたバスタブに改装した。
そんなお気に入りのお風呂に浸かっても、リラックスした気分になれない。
ぎゅっとつかまれた、腕の感覚が消えない。
忘れようとしても、その感覚に引き戻されてしまう。
念入りに肌を洗い、必死に口をゆすいだ。
どんなにゆすいでもきれいにならないみたいに、口の中に残された舌の感覚が消えない。


