男嫌いな女王様とクールな臣下

「影山には、俺の方から釘刺しておくから」

「ん……ありがとう。でも、気を使ってあげてね」

「ああ。分かってる。でも、朱音。ひともことより自分のこと大事にしろ」

榎田が心配そうに見ている。

「うん。そうする」危なかった。
さっきは自分でもダメだと思った。

釘をさすか。

榎田の言うことはよくわかる。
いつも一緒にいる朱音の方が強く感じている。

そんなふうに素直に言えればいいのだけれど。
冗談のように言ったとしても、全然つたわらないこともある。

社長である自分の一言は重い。

思った以上に影響を与えてしまうかもしれない。

声をかけた社員の一生を、左右してしまうことだってありうる。

思いついたことを、好きなように話す訳には行かない。


「それにしても、あのドラ息子、いけ好かない野郎だな」

「そうね」

「あいつのことだろう?心配事があるなら、言ってみろ」

「自信満々だった。なんでだろう」

必ず手に入れるみたいなこと言われたけど。

今の財務状態なら、メインバンクの無理なおねがいなんて、笑って済ませられるけど。

資金で問題になるよなことないし。安心していられるよ。

「今のところは、だな」