男嫌いな女王様とクールな臣下

「どうかしたのか?」
手に持ったフォークを置いて前野が朱音をまっすぐ見据える。


「お食事終わってからの方がいいと思って」


「ダメだ。もう限界だ。君のお芝居に付き合う気はない。気になるんだ。ずっと変だったじゃないか。いつもの君とまるで違う」

「そっか、バレてたんだ。それなら、仕方ないね」

「何があった?正直に言って欲しい」







「なかったことにして欲しいの」





「なかったことって?」




「これまでのこと全部。あなたに会ってから、今日まで全部」



「それは、どういう意味だ?」



「あなたは、私という人間に会わなかったってこと」


「理解できない。ちゃんと説明してくれ」


「あたしのこと理解して欲しいと頼むのは、無理な要求だってよくわかってる。
けど、これ以外に方法がなくて。いろいろ手を尽くしたんだけど、頑張ったんだけど、ダメだったの」

「朱音、それじゃわからない。分かるように順を追って、何があったのか、具体的に説明してくれ」