男嫌いな女王様とクールな臣下

セットメニューの中から1つを選んで、サラダと飲み物を頼んだ。

「こういう店は、あまり来ないの?」

そう言われてみれば、仕事で使うのはもっと高級店だ。
だいたいの相手は。会社の重役で、話した内容が外に漏れないように気を遣う。


「ええ、そうね。春妃がいたころは、彼女がこういう店に行きたがったから、何度も行ったけど」

けれど、学生時代からの友達の春妃とは、普通の年頃の女性のような行動もとっていた。


「そう。春妃には会った?」

「ええ。今日もね、彼女ドレスを選んでたの。ウェディングドレス……
あっ、ごめん。聞きたくなかった?」
彼が、朱音の手を取った。

「春妃のことは、すっかり克服できてるよ。君のおかげでね」
優しく包み込んでくれる。

「そう」

この人は、春妃とのことで辛い思いをしてたはずだ。
それなのに、明日まだ恋人からひどい仕打ちを受ける。

もう一度辛い目に合うのだ。

「どうかした?」

「いいえ。どうもしないわ」

「春ちゃん、とってもきれいだった。素敵だった」

「君は?気に入ったものはあったかい?」

「ええっ?私は何も……」

「仲のいい友達同士で、盛り上がっただろう?」

「ええ」