ホールに出て、下に向かうエレベーターを待っていたら電話が鳴った。
「朱音?今、どこ?」
随分慌てた声だった。
「久俊さん?」
「ああ、どこにいるの?」
走ってるのか、息も途切れている。
「エレベーターに乗るところ」
「俺もだ。君は?何階にいるの?」
「10階よ」
「だったら、6階のレストランに行こう。お腹ペコペコだよ。一緒にに食事をしよう」
「えっと……」
「6階にイタリアンの店があるから、その店の前で待ってて」
「ええ、分かったわ」
ちゃんと気が付いてくれたのだ。
無理して来てくれた。
それだけでもうれしかった。
彼に指定された店の前で、待っていると前野がやって来た。
「ここでいい?」
「ええ」


