男嫌いな女王様とクールな臣下

「では、後のことは頼みます」
朱音は、頭を下げて会議室を出た。

榎田が社長室まで追いかけて来た。

「どこへ行くんです?まだ銀行に?だったら俺も……」

「どこも同じだって言うのは、いくつも銀行を回って見てよくわかったでしょう。
さっきも言ったけど、今日は好きなように使わせてもらうの。
榎田は、どうするのか好きにすればいいわ」

「俺は、どうでもいいのか?いてもいなくてもいいのか?」

「そうは言ってないでしょ。
ついてきてもらう価値がなくなったのは、私の方じゃないの。
あなたなら、よくわかってるでしょ?」

「あの男に頼るのか?」

「あの男って、前野さんのこと?
まさか。他の男と結婚するんだよ?
頼るも何も。これから話をしに行かなくちゃ。でも、どうしても勇気がなくて。
少し時間が欲しいと思っただけ。気持ちの整理をつけたい」

「そばにいようか?」

「いいえ。こればっかりは……
いくら榎田でも、遠慮して欲しいな。
今日だけは、どうしても一人になりたい」