男嫌いな女王様とクールな臣下

「社長……我々も、社長がいない会社に未練はありません。私も、社長と一緒に職を離れます」
岩渕が重々しく言う。

「お前は、祖父から何を教わったの?責務を簡単に投げ出すなんてこと、許されると思ってるの?」

「ですが……先々代は、朱音お嬢様を支えし、お守りするようにとおっしゃっいました。
今日までその一心で職務に没頭してまいりました。
私は、朱音社長以外にお仕えしたいと思える方はおりません」

「そんなことをしたら、ここに居るみんなが仕事を辞めてしまうじゃないか。
お前が、そんなことをしたら、会社が立ちいかなくなってしまう。だから、それはダメだよ」

「納得いきません」坂田が悔しそうに言う。

「なんだ?坂田が社長を交代させることに、一番乗り気だったんじゃないか」

「副社長の言いう通りです。堀田家以外の人間に社長の椅子に座る資格はありません」

「そうか、ありがとう……」

榎田は、宇月雅也が婿養子になるって、伝えてないの?

朱音は、会議室のすみの方にいる榎田に視線を送る。

榎田は、朱音が見ているのに、知らん顔して書類に目を通している。