「早まるな。どうにかするから待てって……」
朱音は、小さく首を振った。
大平銀行の他に、付き合いのある銀行の融資係の担当者に会いに行ったけれど、無駄だった。
融資は出来るけど、時間がかかると言われた。
お金を出すには、審査を通さなければならない。
短い時間では、とても無理だ。
それは、どこの銀行も同じだろう。
「失礼いたします……」
影山が社長室に入って来た。
「全員揃いました」
彼は、いつも通り丁寧に頭を下げる。
「そう。ありがとう、影山」
「社長……影山は」
「バカたねえ、私は、まだ何も言っていないのに、涙ぐまないで」
「はい」
「さあ、行くよ」


