男嫌いな女王様とクールな臣下


堀田土地開発本社ビル。

最上階の社長室。

そして、シンポジウムから戻った朱音は、榎田から渡された報告書を見て考えを巡らせていた。

榎田が工事現場から受けた報告を、詳細に資料にまとめていた。

「不具合は地下に設置した柱で見つかった。報告によれば、計30本ある柱のうち15本で、補強筋の一部が設置されないままコンクリートが打たれていた」榎田が補足する。

報道された内容とほぼ同じだった。
状況は、よくも悪くもなっていない。

「それで?」

「マンションはRC造の地下1階、地上30階建、総戸数は300戸。去年冬に着工してる」

「補強で対応するというのは、わかった。具体的にどんな方法を取るの?」

「柱のコンクリートの不要な部分を削って補強筋を設置する作業に入ってる。手直しの工事は来月上旬に完了する」

「工期が伸びるのね」

「そうだな。余計な工事が増えるから仕方がない」

「うん、それで進めて。補強工事は基準以上に誠実にやると発表して。
途中経過も、現場の写真も公開して。専門家に評価してもらって、それも発表する。
遅れてでも、安全を優先し、やる事はきちんとやるってメッセージちゃんと伝えて。広報にも徹底して欲しいの」

「ああ、わかってるよ