『俺、一緒に学校行こって言ったんだけど』


『だから行ってるじゃない』


『いや、これ俺がついてってるだけじゃん』


『そう?気のせいでしょ』



学校随一の問題児である長瀬と、うっかり付き合い始めてから早数日。


私達はすっかり恋人らしく……。


『とりあえず、手つなごーよ』


『無理!』


………なっていません。



『……。センパイ俺のことホント好き?』


『ぶっ!ちょっ…朝っぱらから変なこと聞かないで!!』


うっかり付き合うことになってしまったとは言え、好きじゃないヤツと付き合ったりするほど私は器用じゃない。


そこは察してよ!


私が長瀬に「好きだよ」なんてハートマークつけて言えるキャラじゃないのは知ってるでしょ!


考えただけで、火がついたみたいに顔が熱くなってくる。


『……付き合ってる感じしねぇ……』


『知らないし。ほら!学校ついたよ!!2年の下駄箱はあっち!じゃあね……ってうわぁ!!』


昇降口に向かおうと長瀬に背を向けた瞬間、腕を引っ張られ校舎の影に連れ込まれる。


『ちょっと!!誰かに見られたらどうすんの!?」 』


『別に。付き合ってるって言やいいじゃん』