「ありがとう、蝶羽ちゃん。でも僕は『男子』って歳じゃないからね。二十歳越えて結婚して妻もいるし」
そういえば、厨二病なせいでたまに忘れそうになるけど、椎馬さんは妻帯者だった。
「阿弓に男装させて行かせても良いんだけど、何かあった時ボロが出そうだし」
「あー……まぁ、この日は特に予定はありませんけど、何の調査なんですか?」
どうして自分が選ばれたのかよく分かってない音遠くんが困り顔を上げた。
「ん?あぁ……その展覧会の主催者が怪しくてね。賭け事が趣味のオバサンなんだけど……なんていうか、その……ちょっとショタコンらしくて」
「えっ?」
「えっ!」
音遠くんが引き気味に一歩下がり、阿弓が何故か目を光らせる。
「数年前から小学生から高校生までを対象にされた性犯罪絡みの事件の容疑者でね。被害者は皆色々トラウマ抱えてるんだ。今回の展覧会はその調査にうってつけってわけ」
なにそれ!
音遠くんをある意味囮にしてるんじゃないの?
私はちょっと納得いかない。
「えーと、それ、いわゆる逆レってやつなのかしら?」
玩子さんが苦笑いで頬を搔く。
「ぎゃくれって何でございますか?」
「鳴夏は知らなくてよろしい!!」

