ザアァ……



カーテンが引かれ、部屋は昼間だというのに真っ暗。

聞こえるのは雨の音と、オカッパ少女の声だけ。

「……そして、鏡を見ると───」

少女の声は、ゆっくりとにじり寄るような低い声で、背筋を寒くさせた。

私はゴクリと唾を飲み込んで、乾いた喉を軽く潤した。

「片目が腐り落ちた、落ち武者の霊が……!」

「きゃーーーーーーーーーっ!!!」

亜希乃がたまらず悲鳴をあげた。

私はキーンとなる耳を抑えながら、蛍光灯の紐を引っ張って電気をつけた。

周りが明るくなり、面白がる鳴夏とビビる亜希乃の姿が視界に入った。

「うっさいよ、亜希乃!!ここ人んちだからね?!」

「にょっほほほほ~♪怖がりすぎですぞ、亜希乃殿~」

オカッパの少女、クラスメイトの十前 鳴夏(ここのつ ななつ)がぶかぶかのパーカーの袖を振ってケラケラ笑う。

「でっ、だっ、だって、鳴夏の喋り方怖いんだもん!」

「でも暇だから怪談大会やろうって言ったのは亜希乃でしょ」