「「はぁ!?アイドルのアドバイザー?!」」

「しっ、ここ教室だよ!事件の事は隠密に……」

あの事件から数日後、事が落ち着いてきた時。

朝のホームルーム前に私が阿弓と亜希乃に誘拐事件の事を話すと、案の定驚かれた。

クラスメイト達がなんだなんだと振り返る。

二人は声を小さめにしつつ、それぞれの感想を零す。

「っはー、んだよ。心配して損したぜ。私の涙返して」

「なにそれー、変な話だね!芸能界ってわけ分かんない!」

あれから、誘拐事件はニュースに一回も出てきてない。

颯馬さんが上手く根回ししてくれたんだろう。

その代わりに、『どりぃむ†あすとろのぉつ』が桝屋 鳳莉と並ぶほどの人気を出してきた。

TV画面越しに見る二人の表情は、すごく活き活きしてて、楽しそう。

良かった。

「でもそーなると、ちょっと気になる点が出てくるよね」

「気になる点?」

亜希乃は何が気になるのかな。

全部終わったんじゃないの?