私には実兄と義姉がたくさんいるけど、両親はいない。

いや、生きてはいるんだけど、同居してない。

私を産んですぐ、海外に飛んだらしく私は両親の顔をよく覚えてない。

特に寂しいとか、そういう気持ちはないけど、なんで逃げるみたいに海外へ行ったのか。私の顔を見たくないのか。

それが少し気になる、というか、なんか悲しいかな。

だからって訳じゃないけど、叱ったり褒めてくれたり一緒に笑ってくれる蝶羽と亜希乃を、家族のように大切に想ってる。

二人共大事だけど、だからといって片方が居なくなっていい訳じゃない。

「……」

握った拳をパキンと鳴らす。

(蝶羽……)



「阿弓、遅かったね、どしたの?」

「え、遅かった?」

「遅かったよ。死んじゃったかと思ったぁ」

「なんで私が自分ちの庭で死ななきゃいけねーんだよ!火サスか!」

でも確かに、もう颯馬兄さんと海馬兄貴が帰ってきてる。

ぼーっとしすぎたか。