「―――うん、そう。お願い出来る?……あぁ、良かった。ありがと。あと、あんまり大掛かりには……おう、頼んだ」


ピッ。


通話終了。

電話を切った。

冷たい風が私の髪と肌を撫でる。

六月上旬にしては珍しく、雲一つ無い夜。

冷たそうな月が私を見下ろす。

……って口に出したら、蝶羽はなんて言うだろうな。

『さすが文芸部〜!言い回しが格好良いね!』

かな。

いや、あるいは……

『ポエマーか!そういうのは小説の中だけにしてよ〜。痛いね〜』

って笑うか?

まぁどの道、今ここに蝶羽は居ないんだから、正解なんて分かるわけないんだけど。

「……は〜ぁあ」

うざったくなって、結んでたポニーテールを解いた。