「まーさか、桝屋 鳳莉をマジで攫っちった系?」

ユキくんが行儀悪くテーブルに足を乗せて、吐き捨てるように言った。

うん。最初はその予定だったみたいだからね。半分は当たってる。

「あ、いや、えと……」

御剣さんがチラチラと私を見る。

いや、こっちに振られても……

「あ〜!リオン、分かったぁ。桝屋 鳳莉を誘拐しようとして、人違いで違う子攫っちゃったんでしょ!」

察しの良いリオンちゃんが御剣さんに詰め寄る。

髪がピンクだから頭悪そうに見えるけど、実は結構賢いみたい。

「御剣さんならいつかやるかもーとは思ってたけどホントにやっちゃうなんて!!お馬鹿!!お馬鹿ぁ〜!!」

「ご、ごめ……ごめんなさいぃ……」

ネイルが施された手がぽこぽこと御剣さんを叩く。

「あのな、オレら、そんなズルいやり方で人気勝ち取っても全然嬉しくねーから。仮に上を蹴落す方法で人気になれても、得すんのはアンタだけだかんな?」

容赦ない言葉の矢がドスドスと御剣さんに刺さる。

さすがにこのダブル攻撃はキツいだろう。

私は助け舟を出す。

「わ、私は平気だし、今鳳莉も怪我してないから!大丈夫、そんなに怒らないで!」

「そう?一番の被害者であるアンタが言うならイイけど……なんか、こっちもゴメンな。ウチのマネが」