苺の無いショートケーキ、猫のいない猫カフェ、肉の入ってないビーフシチュー、タコの入ってないたこ焼き……

蝶羽のいない私と亜希乃は、それらと同じだ。

私達は三人で一つみたいなもの。

一人でも欠けたら、何も意味を成さない。

意外と、いなくなってから大切さに気付かされるんだな……

―――よし。

私は意を決して、スマホ片手に縁側から外に出た。

「……阿弓ちゃん?」

「どこ行くの?探しに行くならあたしも……!」

「いや、ちょっと電話」



外用サンダルを突っかけ、庭の小さな池まで歩く。

もうはっきり三日月が見える。

完全な夜だ。

スマホを開くと『PM8:13』の表示。

本当は大掛かりにしたくないんだけど、現状説明くらいはしておこう。

LIKEを開き、電話をかける。