私が攫われてから、どれくらいの時間が経ったかな……

スマホはカフェ落としちゃったみたいだし、腕時計もしてないから、今の時間が分かんない。

数十分は経ったと思うけど、まだ私は箱の中にいる。

箱の隙間から日光が入ってきてるから、昼間なのは確かだけど。



運転する犯人は、カフェから出る時は乱暴だったのに、段々と普通の運転になってきた。

箱の中にいる私が揺れないようにする為か、もう追いかけられないと思ったからなのか。

そこは分かんないけど、今の私からすればラッキーな方だ。



車は右に曲がったり、左に曲がったり、坂を降りたり登ったり。

どこをどう通ってるのか、全く見当がつかない。

どこに向かってるのかな……

樹海かな。

崖かな。

それともどこか人気の無い倉庫で、毒でも盛られちゃう?

いやいや、例えそうだとしても、阿弓や亜希乃が助けに来てくれる!!

やばいな、拘束されてるせいか、思考がネガティヴになってきてる……

私は生きて、怪盗やって、兄さんを助けなくちゃいけないんだ!

阿弓と亜希乃、鳳莉ともまた会いたいし……