私達は教室の隅に固まってこしょこしょと内緒話を始めた。

鳳莉が眉を寄せて話し出す。

「……昨日、事務所の方に脅迫電話みたいなのが来てね……」

「「「脅迫電話?!」」」

「し、静かに!大事にしたくないの!」

あわわ。

思わず口元を抑えた。

「で、内容は?」

阿弓が先を促す。

「……『六月三日午後四時に、斬泪晶(ざんるいしょう)を今から指定する場所へ持って来い。もし無かったら、現金3億円で代用しろ。来なかったら、桝屋 鳳莉の命は無い。警察には連絡するな』……みたいな感じだったらしい」

うわ、なんか典型的だけど、悪質!

ていうか、六月三日ってその日の明後日じゃん!

つまり、電話は昨日かかってきた訳だから、明日!!

「そっか、だから身内に警察がいるあたしに相談してきたわけか。らしいって事は、ほーりぃは直接聞いてないの?」

「う、うん。マネージャーさんから口頭で教えてもらっただけだから……」

「ていうか、明日までに3億って絶対無理じゃん……」

「それは、事務所のお金と、足りない分は古新聞切って束ねて誤魔化すって、マネージャーさんとプロデューサーさんが言ってた」

「なるほど」

「で、指定された場所ってのは?」

「えっと、名前が思い出せないんだけど……どこかこの辺のカフェだったと思う。確か、なんか花火っぽい名前の……」