「なにす……離して!!」

なんで鳳莉じゃなくて私の方に来てるの?!

男性は逃げようと抵抗する私を担いで、店から走って逃げていく。

「蝶羽ちゃん!」

「蝶羽!」

皆鳳莉の方に警護を集中させてたから、想定外の事に全然行動出来ない。

近くにいた亜希乃もすぐに動けず驚きで固まってる。

私は必死に手足をばたつかせる。

だめだ。体格差のせいで、もがいても逃げられない!

そうこうしてる内に、あっという間にそのまま外に停めてあった車の後部座席に転がされた。

「動くな」

掃除用具入れを横にしたような箱に入れられ、口と手足にガムテープを貼られた。

「んんんっ?!」

何すんの!これじゃ助けが呼べない!

まな板の上の魚みたいにじたばたするしかない。

「おい!!」

店から出た阿弓が車の窓を叩いてる声と音が聞こえる。

「ちょっとー!!」

亜希乃が涙目で追いかけてきたみたい。半泣きの声がガラス越しに小さく聞こえた。