私達三人が声がした方を向くと、すぐ隣りに見慣れた美少女が姿勢良く立っていた。

品のある焦げ茶のストレートヘアに、スカートを短めにした制服。

「あれ、鳳莉(ほうり)じゃん。珍しいね、学校来てんの」

彼女は私達のクラスメイト、桝屋 鳳莉(ますや ほうり)。

今は伊達眼鏡でパパラッチとかの目を誤魔化してるけど、これでも国民的人気アイドル。

正統派、清純派がウリで、元合唱部だから歌唱力もかなり高い。

ノーメイクでも充分可愛くて、笑顔が似合う。『ほーりぃ』の愛称が付くほどの人気者。

誰もが振り返る自慢のクラスメイトだ。

彼女は仕事が忙しくて滅多に学校には来ないんだけど……

「ね、亜希乃ちゃんのお父さんって、警察の人だよね?!お願いがあるの!!」

亜希乃の手をがしっと掴み、縋るような目をする鳳莉。

さすがアイドル。

これは同性である私達でも、聞いてあげたくなるような眼差しだ。

「え?ダディに?」

亜希乃は突然の事にびっくりして、目をパチクリさせた。