興味を持ったらしく、颯馬さんがうきうきと尋ねた。

「へー。それってどんな子?」

「写真があるわ。こんな子よ」

染子さんは胸の間からスっと写真を取りだした。

(どこにしまってんだ!?)

もうつっこむのも疲れたから、私は心の中でそう叫ぶ。

私、音遠くん、阿弓、颯馬さんが覗き込むと、写真の中には七五三みたいな格好の子がいた。

少し吊り気味の瞳、黒い蝶ネクタイ、太ももと膝頭がよく見える半ズボン。薄い唇からは綺麗に揃った歯が見えた。

どうやらリングボーイを務めたらしい。花嫁さんに指輪を届けた瞬間が切り取られていた。

「へぇ、本当に綺麗な顔立ちですね」

「ほんとだね。こんな整った顔の子、初めて見たかも」

「そうでしょうそうでしょう!?」

染子さんがずいと顔を寄せてくる。

うーん、綺麗なのは分かるけど、この子を剥製にしたい気持ちはやっぱり一ミリも分からない。

私は一歩下がった。

「あのー……オバサン、ちょっといいか?」

珍しく歯切れ悪く、阿弓が挙手をした。

「この結婚式って、名取(なとり)さんって人の結婚式?」

「え?ええ、そうよ。どうして知ってるの?」