「おはよー、阿弓、亜希乃」

「はよーっす、アゲハ嬢」

「おっはー、蝶羽〜!」

この前の名画泥棒の件から数日後。

亜希乃の失恋して傷付いた心も癒えて、私の怪我も落ち着いてきた今日このごろ。

六月に突入し、ちょっと気が抜けてきた。

六月って特にイベントも無いし、祝日も無いから、つまんないんだよね……

教室に入ると、阿弓も亜希乃もダレていた。

なんか、〇れぱんだみたい。

「二人共、これから授業だよ。授業中もそんなんだと怒られるよ」

「つってもよー、今やってるソシャゲはイベントやってないし、暇なんだもん」

「あたしもー、立ち直れはしたけど、まだ新しい恋する気は起きないしー」

そう言いながら、二人はさらに机にへばりつく。

このままスライムみたいに溶けちゃいそうだ。

うーん、気持ちは分からんでもないけど、現役女子高生がこんなんで良いんだろうか。

「あ〜あ、なんか面白い事件とか起きないかなー!」

喉元過ぎれば熱さを忘れるってやつか。

亜希乃ったら全然懲りてないし。

警部の娘が何言ってんだか。

「亜希乃ちゃん!」

誰かが亜希乃を呼んだ。