「………はぁ」
私のため息を聞いて、母は仕方ないなぁと言った顔を浮かべる。
そして。
「いいじゃありませんか、婚約。王子ですよ?世の女性の夢じゃありませんか」
普通の女子だったらそーだろうけどねー。
私は生まれてこの方甘々両親を見続けて来たんだから嫌気も指しそうなものでしょ。
「……よいものですよ、結婚」
頬をわずかに染めて微笑むマギーの左手には、美しくもシンプルな指輪が煌めいていた。
彼女が婚姻を結んだのは三年前。
確かに幸せそうではあるけど。
それはマギーだからじゃないのかしら……。
「はい、いい感じ!」
「こっちもできましたよ」
2人が終わると、私は仏頂面で立ち上がる。
「はぁ」
これで歩くのか……。
とりあえずどうしようもないし、ここまできたら脱ぐのも面倒くさい。
よって、腹を括って歩き出す。
後ろにはニコニコ顔の母と、仏頂面を注意するマギー。
「勘弁してよもう……」
このつぶやき、今日何度目かわからない。


