「……………キツい」
婚約の話を母たちに聞いてから2日後。
つまり、婚約者候補たちが到着する日の朝。
私はマーガレットが着せてくれたドレスに対して文句しかなかった。
コルセット………これいる?
こんなに腰しめなくたって、私バービー人形になりたいわけじゃないっつの!
もしかして、今日は晩餐会もこれで出ろとかいう?
何も食べれないじゃん!!
ご馳走が待ってるのに!!
「ガマンしてください!ほら、足閉じて!」
うぅ。
苦しい。
これ作り出したの誰よ……!!
日常生活を便利にしよう!って作り出したんじゃないよね?
美しさとかいって作ったんでしょ、いらないよねこれ。
あ、まってマギー……私の内蔵潰れる……。
まじでお父様の面白くないシャレみたいになるから。
内蔵がないぞう状態になるから。
あの時は何言ってんだこの人と思って笑ったけど、笑い事じゃないよお父様。
「はい!いいですよ、できました」
やっと解放された、けど苦しさからは解放されてない。
うぅぅと呻いていると、ドアがノックされ、続いてドアが開いた。
そしてお母様が顔を覗かせた。
「…あらあらあら!素敵じゃない!!」
母はきゃあきゃあと嬉しそうに騒いで、私のことを抱きしめた。
締め付けられている状態でさらに締められる、今日は拷問かな?
「はい、じっとしててね」
母は抱きしめた状態で私の首にネックレスをかけた。
ちら、とネックレスを見ると、紫色の宝石。
それを見て、満足そうに笑った母は、再度私をマーガレットに差し出した。
続きましてヘアアレンジタイムですか。
もう勘弁してください。
マギーは私をドレッサーの前に座らせると、背中まで伸びる金髪を高いところで一つにまとめ始めた。
その間、母が私の顔に色を載せていく。
と言っても、薄い桃色のチークと、口紅だけ。